人前で話す際にはまるで演技をするように表現すれば、場慣れしていなくても堂々とした姿勢でしっかり伝えられるのですが、じゃあ「演技をする」っていうと、なんだか嘘っぽいというか、表面だけをなぞるようなイメージを持ちませんか。
そもそも演技っていっても何を演じるの?
とか、
演技なんて恥ずかしい
とか…。
本当の演技は嘘っぽくもなければ、恥ずかしいことでもないことと、人前で話す講師や起業家は、この演技力を持っておいた方が絶対いいよ!というお話しをしたいと思います。
これは私が10年ほど役者をやってきたことと、講師としても10年以上マンツーマンから大人数の前に立って指導やお話しをさせていただいた経験を踏まえた内容、つまりすべて実体験です。
上手いセミナー講師は世界観を作る
役者の演技が素晴らしければ、観客を前のめりにさせるように、人前で話す人が演技力を身につけると、聞き手を巻き込むことができます。
講師の話に受講者が集中して聞き入り、いつの間にか心まで揺さぶられている…という状況が起きます。
講師は例えばエビデンスや実績などを伝えることで(内容を練ることで)、説得力を持たせるのですが(もちろん、これも大事です)、演技力があれば、まだ実績のない若い講師でも十分聞き手を引きこむことができます。
現実にあり得ない世界を舞台で再現しても、それを観客はまるで自分も疑似体験しているかのようにその空間を共有し、主人公や特定の登場人物に共感し、心を持って行かれ、見聞きしているだけにもかかわらず、泣いたり笑ったり、時にはイラっとしたりしていますよね。
大きな舞台でもそれが可能ということは、セミナー会場くらいの空間であれば、講師の世界観を創り上げて、そこに受講者を巻き込むことは難しくありません。
ということで、まずは演技とは?について解説していきます。
演技とは?
まず、演技やお芝居という言葉には、冒頭に書いた通り、表面をなぞるようなイメージがあるかと思うのですが、そうではありません。
役者が泣いていれば、それは泣く真似をしているとか、泣く芝居をしているとかではなく、本当にその人が泣いているんです。
悲しくて泣いているのであれば、その役者はそのとき(その瞬間)は本当に悲しい気持ちになっているし、悔し涙を流しているならば、その瞬間は本当に悔しい気持ちで胸がいっぱいになっているんですね。
だからただ、「目から涙を流す」ということを一生懸命にやっているのではなく、その場に生きている人物として存在しているので、リアルな感情がわき、本物の涙が流れるのです(舞台だと涙が流れるかどうかにこだわりませんし、映像だと涙を見せるということが必要なこともあります)。
役者は舞台公演期間中とか、ドラマの撮影中はその役を引きずるとか、反対に家に帰ったら切り替えるとかいう話しを、テレビやネット記事などで見聞きしたことがあるかと思います。
そこはいろんなタイプがいますが、どちらにしても、演じている時は、「演技をする=嘘真似をする」のではなく、本当にその人物になっているので、心が本当に動いているんです。
上手いセミナー講師が演じている人物とは?
では、講師はどんな人物を演じるのかというと、家でくつろいでいるあなたではなく、趣味に没頭しているあなたではなく、その専門的な情報を受講者のために精一杯届けたいという熱い想いを持っているあなた自身を演じるのです。
ここで他人を演じる必要はありません。
もしかしたら、「あなた自身を演じる」といってもピンと来ないかもしれませんね。
では、原稿やスライドが用意されていたら、他の方に代わってもらってもよろしいでしょうかと聞かれると、答えは「NO」だと思います。
あなただからこそ伝えられることもあるし、あなたが自分で伝えたい!という思いはあるはずです。
この日のために作った資料に自分で息を吹き込みたいですよね。
なので、その資料をただ読むのではなく、想いやプライドを持った講師としての自分を120%出し切ってほしいのです。
これまでに何度も開催したセミナーであっても、その都度新鮮な気持ちで取り組んでください。
なぜなら、リピートしているのは講師であって、受講者さんはその都度“初めて”だからです。
講師のエネルギーが受講者の行動を変える
講師として人前で話すときに、頭をフル回転させながらしゃべっていると思うのですが、ぜひ頭だけでなく、心も使ってみてほしいなと思います。
それを話すのに相応しい経験や知識をお持ちのはずなので、これまで見てきたこと(光景)や、学びをとおして腑に落ちた時の感覚などを、ありありと思い出して、その感動を言葉としてだけでなく、全身で表現するのです。
「全身で表現する」というと、なんだか身振り手振りを増やすイメージを持たれたかもしれませんが、ジョブズ風を意識して手を動かそうとするのではなく、受講者に伝えたい!届けたい!という思いが強くなると、全身からそのオーラ(波動、エネルギー)が自然に出てきます。
ただ自然に出るといっても、ひとつ前提があります。
それは、「自分の殻に閉じこもっていないこと」です。
今回が初めてだからとか、まだ実績が少ないとか、そんな殻は取っ払いましょう!
講師から放たれるエネルギーが、会場いっぱいにならないといけないんですね。
まさか最前列にいる受講者にしか届かないようでは、エネルギーの放出がまだまだ足りません。
マイクに乗った声が届けばいいのではなく、講師のエネルギーも届くからこそ、
「面白いセミナーだった!」
「またこの先生の話を聞きたい!」
と心が動き、
「帰ったら家族に話してみよう」
「今日聞いたことを早速実践してみよう!」
と行動が変わるわけです。
役者は演技中、その人物になりきっている自分と、それを客観的に見ている自分が同時に存在しています。
これを講師に置き換えたら、専門的な内容を情熱的に伝える講師役である自分と、時間配分を意識できる冷静な自分がいる状態です。
また、舞台役者は客席の反応を敏感にキャッチしています。
講師でいうと、話しを進めながらも受講者の反応をキャッチするんです。
「わかりますか?」と問うのもいいですが、問わなくても「わかりにくそうにしているな」と把握して、言い方を変えてみるという瞬発力も備わっている方が望ましいです。
オンライン教材ではなく、せっかくリアルタイムで講師と受講者が合っているなら、その場の空気感は共有したいですよね。
それがライブのメリットです。
おわりに
講師として話すのであれば、習い事の発表会とはわけが違います。
あなたの話しを聞きたい!と集まってくださっている方全員にしっかり届けるためには、大きな声でしゃべるだけでなく、受講者の心が動き、それに伴って行動も変わる…それが、講師が一番望んでいるところですよね。
セミナー内容を話すことでいっぱいいっぱいになってしまわれているのであれば、ビースマートの話し方講座で表現力を磨きませんか。
受講者が背もたれから離れて前のめりになるエネルギーに満ちたセミナーを目指しましょう。
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