話し方教室の先生といえばアナウンサーが一般的ですが、最近は様々な業種の方が話し方やコミュニケーションの講義を開かれております。
今の段階で私が知るところでは、
- 落語家
- 女優
- 芸人(元芸人含む)
といった方々で、いずれもただステージ(人前)に立って話すという点だけでなく、パフォーマンスとかエンターテインメントといったくくりでも共通していますよね。
「話し方」というより、「表現」の方がしっくりきます。
このブログでは、まさにその「表現」について私なりの考えと経験をお伝えしたいと思います。
お客様や受講者様のことを考えて一生懸命に話しているつもりなのに、何だかよい反応をもらえないなと感じる方や、「口下手で…」「人見知りで…」とうまく話せないというお悩みをお持ちの方にも読んでいただけると嬉しいです。
伝わる表現とは?
さて、私の表現の経験としては約10年続けた舞台役者が該当します。
舞台役者って聞くとどんなイメージをお持ちでしょうか。
人前に出るのが好きで、学生時代から教室にいてもキラキラしている人でしょうか。どこでも大きな声で堂々と声を出せる人でしょうか。自分に自信があって、積極的で行動力に溢れた人でしょうか。
もちろんそのような人もいますが、少なくともそれは「一部」でした。
芸人さんは裏では大人しいって聞いたことありますか。私の知り合いにも芸人やっている人が何人かいますが、プライベートで会っているときは「声、ちっちゃ!」と思わずツッコミたくなるような人もいるんです。
舞台役者をやっていると、その期間は舞台役者に囲まれて生活しているわけですが、人見知り、声が小さい、自信がない…そんな人が多かったですし、私も元々は声が小さかったです。
何が言いたいかというと、役者やっている人がみな、元々「華やかで声が大きくて目立ちたい人」だからステージに上がっている…というわけではない、ということです。
それとはまた別の理由やきっかけで、ステージに上がる道を選び、後から発声や表現を訓練して身につけていったんですね。
役者は舞台上では常に他の共演者とコミュニケーションを取っています。
それぞれが決まったとおりに順番にただセリフをしゃべっているわけではないのです。
コミュニケーションを取っているからこそ、アドリブができるんですよね。
ステージに自分ひとりしかいないとしても、それまでには演出家とのコミュニケーションや、当日なら照明さんや音響さんとのコミュニケーションもとっていますし、何よりも、客席にいるお客様とのコミュニケーションを一番大事にしています。
客席にいる人と会話をするわけではありませんが、舞台にいる役者はみな、客席の空気感や反応を肌で感じ取って、それを意識的にも無意識的にも芝居に組み込みます。
だから、生の芝居って同じことをしているように見えて、その都度ちょっとずつ違うんですね。
役者側も昨日と同じことをするにしても、毎回新鮮な気持ちです。
受け手とのコミュニケーションが大切
これをあなたのお仕事に置きかえるとどうでしょうか。コミュニケーションを意識していますか。
例えばお店での接客で、直接的な言葉はなくともお客様の反応や、教室で授業を受けている生徒さんの反応も感じ取れるはずです。
コロナ渦でオンラインセミナーやオンライン授業を私たちは経験しましたよね。そのときに聞き手の反応がいまいちわかりにくくて、進めにくいと感じた経験はありませんか。
つまり、それまでは自然に聞き手の反応を私たちはキャッチしていたということです。
自分の頭の中にあるセリフをただしゃべるだけでは相手に届きません。
聞き手の反応を見て、それに応じた速さや声量などで届ける意識を持って放ちます。
「私がうまく話さなければ!」という意識よりも、相手が話すかどうかは関係なく、双方のコミュニケーションが大事なのです。
人見知りで口下手な人の表現
人見知りで口下手な人がいること自体は否定されるものではありませんが、コミュニケーションの最初に「私は人見知りなんです」と言ってしまうことに対しては、私はあまり好きではありません。
先にそれを言われてしまうと、「だからそっちが頑張ってしゃべってね」「だから配慮してね」という気持ちが透けて見えちゃうんですね。
コミュニケーションはお互いが歩み寄ることから始まると思うので、片方に責任を負わせるのはフェアじゃない気がします。
そこで、人見知りを直す努力より、目の前の人や話のテーマにしっかり関心を持つ!という努力をしたらいいのかなと思っていますし、私も初対面の人相手でもいきなりペラペラしゃべるわけではありませんから、この意識は常に持っています。
とにかく外に関心を持つ。自分がどう思われるかではなく、目の前の人や、今みんなが話題にしているテーマについて真剣に考えてみる。
そうすると、「私はこう思う」とか「私もその意見に賛成です」っていうのが心の中にわきあがってくるはずなんですね。
そしたら、きちんとそれを声に出して伝えるとか、人の話しに共感するなら、しっかり頷くというリアクションを取ります。
「人見知りなんで…」というと「察してね感」が出ちゃうんですが、なにもペラペラ流暢にしゃべることがすべてではなくて、しっかり自分もそこに参加して加わり、できるリアクションはすべて取ります。
頷くだけでなく、すごいと思ったら拍手をしたり、驚いたら目を丸くしてみたり、面白いと思ったら声を出して(口を開けて)笑ったり…。
結局は「話し方」をどうするかにこだわらなくても、「表現」をどうするかが大事で、しっかり表現できればコミュニケーションは取れます。
だからこそ今、アナウンサー以外の人たちが、話し方やコミュニケーションのセミナーを「表現」という部分にフォーカスしてお話しされているのかもしれません。
おわりに
店頭での接客、マンツーマンのレッスン、大勢を前にしたセミナーなど、どんな場面でも、人の前で話をする際には、どう話そうという「話し方」だけでなく、表現を意識してみてください。
相手からの表現を受け止め、また自分の表現をわかりやすく相手に示すということですね。
ただ、表現というのは客観的に見た方がわかりやすいので、こんな表現方法で大丈夫かな?と思われる方は、ぜひ一度お問い合わせください。
セミナーを控えている方、魅せ方をブラッシュアップしたい方、お待ちしております。
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