「話し方を褒められても別に嬉しくないし」
こんなことを言われたことがありますが、あなたはいかがでしょうか。
私はめちゃくちゃ嬉しいです。
単純に褒められるってことは嬉しいですし、「話し方を褒められる」っていうのは、相手にわかりやすく伝わっているときだと思うので、「伝わってよかった!」という気持ちも生まれるからですね。
ビースマートの話し方講座を受講される方の中には、「話し方を褒められると、頭がいいと言われているみたいで嬉しい」とおっしゃる方もいらっしゃいました。
確かに聞き手の立場になると、難しいことほどわかりやすく上手に話す方を見ると、頭良さそう!って思います。
では、話し方を褒められても嬉しくないと思う人の心理は何なのでしょうか。
- 褒め方がわざとらしい
- 警戒している相手から褒められる
このようなケースは確かに喜べません。
また、自己肯定感が低いと、褒められても「そんなはずはない、お世辞に決まっている」と思い込んでしまって、素直に受け取ることができないでしょう。
私が想像するのは、次の2つです。
- 「話し方」より、自分の持つ知識量を褒めてほしい
- 当たり前のことすぎて褒められてもピンと来ない
このブログでは、この2つについて掘り下げていきます。
「話し方」より知識量を褒めてほしい
「そんなことまでご存知なんですね!」という感じで、自分(話し手)が持っている知識がすごい!ってことを褒めてもらいたいタイプの方がおられます。
承認欲求が強めなのかなとも思うのですが、その道の専門家を名乗っている方にはなかなか言えない言葉です。
野球選手に「野球、詳しいですね!」って言わないじゃないですか。
中小企業診断士の方に相談した際に「経営について豊富な知識をお持ちですね」って言わないですよね。
言ったら逆に失礼です。
専門にしていなさそうなことで詳しければ、その知識量の多さに驚き、「すごいですね」と言うことはあるかもしれません。
また自分より年齢を重ねた人に向けて、知識量の多さを褒めることもほぼないと言っていいと思います。
人は自分より年齢が(かなり)上だと、知識や経験も自分より多いはずだと思い込みます。
本来は年齢と比例するとも限らないのですが、無意識にそう思ってしまうのですね。
なので、(明らかに)年下の人から知識の豊富さを褒められたい思うのは諦めた方がいいと思います(笑)。
それに知識でいうと、やはり上には上がいますから、「わかりやすく教えてくれる!」の方がその人となりを褒めている言葉になるのかなと、私は思います。
褒められてもピンと来ない
「わかりやすく話してくださるので…」と言われても、自分としては特に何も意識して話しているつもりはない、ずっとこんな感じです…という方もおられるでしょう。
話すことに限らず、自分が当たり前に難なくやっているつもりなのに、それを褒められるという経験をされたことがある方は多いと思います。
私からすれば、朝早く起きられるというだけで「すごい!尊敬します!」って言いたくなります(笑)。
自分にとって当たり前なことでも、人によってはそうでないということを知るのってすごく大事だと思うんですね。
それは自身の強みを発見する機会にもなりますし、人の好意を素直に受けとることが一つのコミュニケーションだと思うからです。
日本人は褒められると謙遜する人が多いですが、「お話しがとてもわかりやすく、すごく腑に落ちました」と言ってくださった方に対して、「私は話し慣れているのでこれくらいは当たり前ですよ」とは言いませんよね。
ここは素直に「ありがとうございます」という気持ちで受け取りたいものです。
もし、「これくらいは当たり前ですよ」と言わなかったとしても、そういう気持ちは顔や姿勢に出ます。
せっかく気分よく褒めてくれた人が、最後の表情や姿勢で「あ、私の言葉を受け止めてくれていないな」と察することは十分可能です。
「話す」は双方のコミュニケーション
『話す』と一言で言っても色々あります。
友達と雑談をするのと、人前でセミナーをするのとでは違いますよね。
この『話す』という動詞を英語で見ていきましょう。
- speak:「言う」。聞き手を必要としない + 話す「行為」に焦点が置かれる
- say:「発言する」。聞き手を必要としない + 話す「内容」に焦点が置かれる
- talk:「話し合う」。聞き手を必要とする + 話す「行為」に焦点が置かれる
- tell:「伝える」。聞き手を必要とする + 話す「内容」に焦点が置かれる
(出典:weblio英会話コラム)
ビースマート話し方講座で習得したい『話し方』は、聞き手を必要とする『talk』や『tell』なんです。
講師が一方的に話しをするにしても(形としては一方向でも、本来は聞き手を意識するべきですが)、受講者から「わかりやすかったです!」と感想を述べられたら、その瞬間に「話し手・聞き手」が存在するので、「ありがとう」と返すのがコミュニケーションじゃないかなと思っています。
褒めてくれた相手のために、無理やりにでも喜んでくださいと言っているわけではありません。
「話し方を褒められても別に嬉しくない」というのは、自分に矢印が向いている状態で、それを相手に向けることができると「そう思ってくれてありがとう」という気持ちを持つことができるではないでしょうか…という提案をしているのです。
自信を持つことは大切ですが、それが度を超えて「私はこれくらい話せて当たり前だ」と思いすぎると、常に自分の話し方が完璧であるという思い込みが生まれ、それは次第に聞き手を無視した話し方に繋がります。
私たちはAIではなく人間なので、その場の雰囲気や目の前にいる人の反応をキャッチしながらその場に相応しい話し方をアレンジできるようにしていきたいですね。 いつもいつも同じような話し方であれば、それこそAIに代わられるかもしれません。
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