あなたは仕事中にミスをしたことがありますか。
うっかり忘れてしまったとか、少し遅れてしまったということも含めると、1度は何かしらの経験があるのではないでしょうか。
私は以前、大手フィットネスクラブの委託業務として、高齢者施設に出張して体操指導を行っていたことがあります。
出張して業務を遂行するたびに、業務完了報告のメールをスポーツジムに送る決まりがありました。
- どこの施設でどんな運動指導を行ったのか
- 何名の方が参加してくださったのか
など最初の契約で決まったことも含めて毎回毎回送信するのがルールだったんですね。
ところが初日が終わっての報告メールをし忘れたので、後日フィットネスクラブから連絡が来たのです。
次回からは忘れないように「報告メールを送る」と、手帳の出張する日のところに書き、帰りの電車の中で送信することを習慣にしていきました。
フィットネスクラブから電話が来たときは「すみません、忘れてました」と、はっとしながら謝ったのを覚えています。
私のように、『聞いていたけれど、忘れていた』という経験をしたことがある人もいらっしゃるかと思います。
私もいろんな人と一緒にお仕事をしていく中で、「こうなったら報告ください」と予め伝えていたのにも関わらず、報告漏れが発覚したこともあり、「こういうときは報告してくださいね。次からお願いしますね」と伝える側になる経験も何度かあります。
そんなときに、次のような返事が返ってきたことがあるのです。それも、1度や2度ではありません。その返事とは…
「どうしたらいいか、わからなかったんです」
私はこの言葉にとても違和感を覚えます。あなたはいかがでしょうか。
冒頭でお話しした、私の体操指導に当てはめてみますね。
業務を終えた後に報告メールを送ることをしなかった私に対して、フィットネスクラブから「業務を終えたら、その日のうちにメールくださいね」と注意が入ります。
このとき私が「どうしたらいいか、わからなかったんです」と言ったらどうでしょうか。
本当にわからなかったとき
本当にどうしたらいいかわからなかった場合を考えます。
業務が終わったらどうしたらいいか、わからなかった
=業務が終わったら何かした方がいいんだろうけど、何をすべきかがわからなかった
というニュアンスにも受け取れます。
私のように「忘れてました」というのは、「業務が終わったら何かすることがある」という意識すらないことを表します。
「どうしたらいいかわからなかった」と、「忘れていた」は別であることが伝わりますでしょうか。
後になって「どうしたらいいか、わからなかった」と言ってしまうのは、途中で仕事を放棄しているようなものだと思うんですね。
どうしたらいいのかがわからないのであれば、施設への出張を終えた時点(帰り道など)、つまり、「わからない」と思った時点で確認すべきです。
「先ほど業務が完了したのですが、この後はどうすればよろしいでしょうか」とフィットネスクラブに連絡するのです。
「今回が初めてで…」と状況を伝えれば、「報告メールを送ってください」という指示をもらうことができますよね。
さらにここで「前に教えていただいたと思うのですが、もう一度確認させてください」というように、「実はすでに教えてもらっていますが、記憶に自信がなくて改めて聞いてしまい、申し訳ありません」という気持ちを伝えることができると、よりいいです。
これくらいのルールは、おそらくどこでも最初に聞いているはずなので、「何度も聞いてすみません」という姿勢を見せたいものです。
繰り返しますが、「どうしたらいいか、わからなかった」というふうに過去形で使うのは、わからないことをそのまま放置してやり過ごしたということになります。
これでは信頼関係を築くことができませんので、わからないときは、その時すぐに確認していきましょう。
ただの言い訳になってしまう
「次からはこうしてくださいね」と言われたのに対して「どうしたらいいか、わからなかったんです」というのは、ただの言い訳にしか聞こえませんよね。
本当にわからないと思うなら、その時に確認すればいいだけですし、「次からはこうしてください」と言われたら「はい、わかりました。」で済む話なのに、まるで責任逃れをするかのような印象を与えてしまいます。
報告と言い訳の違い
誠意をもってきちんと報告したのにもかかわらず、言い訳に捉えられるケースもあります。
報告と言い訳、何が違うのでしょうか。
その答えは、結果を先に言えるかどうかです。
例をあげますね。
AとBを読み比べてみて、どちらが言い訳っぽく感じるでしょうか。
【A】
申し訳ありません。みんなが締切を忘れていたみたいで、書類がなかなか揃いませんでした。それで提出が遅れてしまいました。
【B】
申し訳ありません。提出が遅れてしまいました。もっと早くみんなに通達しておくべきでした。
Aの方が「言い訳」に聞こえませんか。
もし、その期日に間に合わなかった場合、「提出が遅れてしまいました」とはっきり最初に言えるかどうかで、印象が異なりますよね。
ミスをしたら次は同じ過ちを繰り返さないという誠意を見せるためにも、対策を伝えることはあっていいと思います(もっと早くに通達しておけばよかった、という点です)。
ただ、原因(みんなが締切を忘れていた)は、聞かれてから答えてもよいかなと思います。
報告を受ける立場になって想像していただきたいのですが、ミスをした(提出の期限を守れなかった)ことより、説明が長いのは印象がよくないですよね。
ミスの大小も様々ありますが、「すみません!間違えました!」「申し訳ありません。遅れました!」と潔く言ってくれた方が、「次からは気をつけてくれるかな」と思えます。
信頼関係を築くのはコツコツ積み上げていく必要がありますが、信頼を失うのは一瞬であることを肝に銘じておきたいものです。
中には状況を説明しなければならない場面もあるかと思います。
また、理不尽なことを言ってくる上司が身近にいらっしゃるかもしれません。
それでも、「現状はこうです」というのを、言いにくいミスであっても先に言ってしまうことをオススメします。
これはスマートな話し方の王道「結論ファースト」ですね。
結局は長々話して要点がわかりにくいと、聞き手は混乱して「わかりにくい!」と不快になるからです。
言葉はコミュニケーションツールであることを考えると、聞き手がなるべく不快にならないように言葉を選んだり、並び変えたりする工夫をしましょう。
もちろん、そこに自己犠牲はいりません。
話し方を習得しよう
会話は言葉のキャッチボールだとよくいわれるとおり、こちらも相手もお互いに受け取りやすいところを目掛けてボールを投げます。
キャッチボールに慣れていない人は投げ方も受け方も未熟なので、全然違う所に投げたり、相手に届かなかったりするでしょう。
そこからコツコツとキャッチボールを繰り返し練習することでコツをつかんでいきます。
話し方も同じです。
ただ自分勝手にしゃべるのではなく、相手が受け取りやすい言葉を投げます。明日すぐにできなくても、意識しながら話すことが練習になります。
言い訳をするなと言われたり、相手に誤解を与えてしまったりすることがよくある方は、話し方の練習をしてみませんか。
野球のプロでもコーチに学ぶように、日本語が話せるあなたも話し方コーチについた方が、独学より習得が早くなりますよ。
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