人と会う約束をするにあたり、日にちを決めなければいけませんが、その日程調整は「誘う側」と「誘われる側」のどちらが主導で決めるのがよいのでしょうか。
友達と食事に行く約束ですら、なかなか日程が合わずに「お互いに仕事が忙しいから仕方がない」と先延ばししていたなら、それは仕事の忙しさが理由ではないと思います。
実際に、忙しい人ほどその場でさくっと予定を入れられるのを、私は何度も目の当たりにしたからです。
もしかしたら、あなたの日程調整の仕方によっては、先方に不快な印象を与えているかもしれません。どのようなやり取りがスムーズなのか、見ていきましょう。
誘う側が候補日を挙げよう
結論から申し上げると、「会いたいです!と声をかける側」が日程の候補日をあげることをオススメします。
仕事でもプライベートでも、です。
誘う側が、候補日をいくつか(一般的には最低3つほどというケースが多いです)お相手に提案して、提案された側がそこから選ぶという流れがスムーズです。
もし、その候補日のいずれも都合がつかない場合のみ、誘われた側の人が日程を提案します。
仕事に置き換えるとわかると思うのですが、「今度、私と会う時間を確保してください」と申し出る側が、「ちなみに、いつなら空いてますか」と聞くといかがでしょうか。
「この日なら…この時間なら…」とスケジュールを確認して、いくつかを相手に提案するのって、ちょっと労力がいりますよね。
会いたいと言っている側がその労力を使わずして、相手からの日程提案をただ待つのって、なんか違います。
例えば受講者が講師に「個別相談をお願いしたいです」と申し出たとして、「先生のご予定はいつ空いてらっしゃいますか?」と聞いたとします。
先生のスケジュール(しかもセミナー講師に対してセミナー日程を聞くならまだしも、空いている日程)を聞くのって、なんだか失礼な感じがしませんか。
先生が空いている複数の日程から、受講者側が“選ぶ”のって、どちらの立場になってみても、違和感があるのは想像できるかと思います。
「自分の都合を先に言うってことは、まるで自分に合わせろと言っているようで失礼ではないのか」と迷う人もいらっしゃるようですが。相手のことを思えば「手間をかけさせない」というのが一番の配慮なんです。
個人サロンがやりがちな予約の受付
サロンなどの店舗に予約を入れる際、「お問い合わせ・ご予約はDMでお願いします」というのをよく見かけるようになりました。
少し前までは、ホットペッパーなどの予約サイトを使って、空いている日時を公開し、お客様がそこから日時を選ぶのが主流でしたが、今は個人事業主であるサロンオーナーが予約サイトを使わずにSNSのみを活用して集客から受付までを行っているのをよく見かけます。
私もDMやチャット機能を使ってサロンの予約をしたことがあるのですが、必ず頭をよぎるのは「一体いつ空いているんだろう」ということです。
例えばインスタグラムのDMでご予約くださいと書いてあったとして、インスタに空き状況が掲載してあれば選ぶだけですが、そのような掲載がなく、問い合わせたら「坂本さんのご希望日時を3つほど教えてください」と返事が来たことがあります。
「その日は空いていません」と言われて何度もラリーしたくなかったので、私はなるべく時間的余裕のある日を言ってしまうのですが、「隙間時間に行けるなら行きたい!」ということもありますよね。
サロンに予約を入れる場合、お客様の方が「会いたいです」と言う側ですが、スケジュール確認する労力をかけないという配慮を考えると、サロン側が「この日が空いていますよ」と提案しておくのがスマートですね。
日にちを選ぶのはお客様なんです。こういうことは、予約サイトを使わなくてもできることです。
このことを、実際にサロンオーナーさんにお伝えしたことがあるのですが、開業して間もない場合はお客様も少ないので、空いている日の方が多く、
「こんなに空いてるの?お客さん、来てないの?」って思われたくない…
というサロンオーナーさんの声もいただきました。
空き状況を出していない理由があるとすれば、ほとんどがこれに該当しているようです。
その気持ちはよくわかります。わかるのですが、それでも日程を出すことをオススメします。
「空いている日が多くて恥ずかしい」というのは、保身でしかないからです。
お客様目線で物事を考えると、そのような発想はぐっとこらえて、せめて2週間ごとでもいいので、空き状況を出して行きましょう。
隠すから来ないのです。
もっとオープンにやっていけば、徐々にお客様は信頼して、あなたのお店に予約を入れてくださいます。
本当の配慮は選択肢を提示すること
いつでもいいですよ!ご希望に合わせますよ!…というのは、一見親切そうに見えて、実はその逆です。
「相手に考えさせる」というのは配慮が欠けているんです。
例えば「話し方についてセミナーを開きます」と言われても、それだけでは参加に踏み切れませんよね。
- 「あがり症の人がスムーズに話せるようになるセミナー」
- 「生徒にわかりやすい!と言ってもらえる授業の進め方」
というように、なるべく具体的に主旨を出した方が、「それだったら参加しよう!」「これは私に関係ないからやめておこう」とすぐに判断できるので、お客様にとって親切なんです。
「先生の中にもあがり症の人がいるかもしれないし」とか、「話し方についてなら、いろんな悩みに対応できます」とか思うかもしれません。
その結果、
- 先生向け
- あがり症対策
- 大きな声を出す方法
- プレゼン対策
など、いくつものテーマを盛り込んだとしましょう。
そこに参加した人の満足度はどれくらいでしょうか。
「いろんなことが聞けてよかった!」…とは、ならないのが現状です。
人は基本的に自分自身に興味があります。
セミナーという時間とお金を費やすものであればなおさら、自分が興味を持つことだけをたくさん聞きたくて、それ以外の時間は退屈に感じてしまうんですね。
人前で話すことには慣れているし、大きな声も出せるけど、受講者からの「わかりやすい!」という評判やリピーターを生むセミナーをするにはどうすればいいのかという課題がある人にとっては、あがり症対策や大きな声を出す方法は興味がありません。
もし60分セミナーのうち30分もの時間にあがり症対策や声の出し方を解説していたら、「半分もの時間はつまらなかった」という感想になるのです。
これではセミナーを開催した講師にとっても、参加したお客様にとってもマイナスですよね。
まとめ
スケジュールが合わないのは仕事が忙しいせいではなく、日程の決め方や提案の仕方がそうさせているのかもしれません。
お店の予約がなかなか入らないのは、空き状況が知られていないからかもしれません。
同じようなお店が数ある中で、わざわざ不親切なお店に問い合わせて聞いてくれる人ばかりではなく、「わからない、予約に手間がかかる」と感じたら、他のお店を探す人の方が多いです。
仕事のときだけでなく、友達と約束をするときから、相手のことを想像して誘ってみましょう。
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