人前で話すというと「私、うまく話せないんで…」という人が必ずいますし、実際にいろんな人のお話しを聞くと、うまい人とそうでもない人がいるのも事実です。
なんかしらんけど、もともとうまい人もいると思うんですね。トレーニングを受けていないのに走るのが早い人っているじゃないですか。
そんな感じで、「なんかしらんけど」の部分はどんな分野にでも多少はあると思うのですが、このブログでは、「私はうまく話せない、けどある程度うまく話せるようになりたい」と思っている人に向けて、書いていこうと思います。
うまく話すために必要なのは相手への気配り
そもそも、人とコミュニケーションを取りながら生きていく上では、やっぱりある程度はうまく話せた方がいいです。
「うまく話せる」の定義が曖昧なので、別に営業職じゃないしとか、社交的になるつもりはないという方にはピンと来ないかもしれません。
いくつか例を挙げてみますね。
- パソコンの調子が悪いから見てもらいたいけどうまく説明できない
- 先生に質問したけど、思ってたのと違う答えが返ってきた
- 仕事でお客様からの質問に答えても悶々とした表情を見せられる
講師になるとか営業職に就くとか、そういうことがなくても、生活する上で質問や相談をする際には、何に困っているのかを相手に正確に伝える必要があります。
街で道を尋ねられた時に地図がない状態でも、相手が晴れやかな表情で「ありがとうございました!」と言ってくれるように、答えたいですよね。
私にとって「うまく話す」の定義は、「相手にわかりやすく話す」です。
どんな些細なことでも「この人の話はわかりにくい。何を言っているかわからない」なんて思われたら、コミュニケーションが取れなくなります。
なので、話術を磨くという意識ではなく、相手への気配りを意識していきましょう。
社会生活を営む上では話すこと以外でも気配りってしますよね。
マナーとか配慮とか、相手や次に来る人のことを想像して動くことを、無意識のうちに行っているはずです。
それを話すときにも同じように行っていきましょう。
「うまく話す=聞き手に配慮して話す」と定義して、話しを進めます。
うまく話せない人と言っている人が、普段の生活で人に配慮できていないのかというと、そんなことは全くありません。
私の周りでも、日頃から周りを見渡せて配慮ができる人であるけれども、人前で話すとなると「私はそういうのはちょっと苦手で…」とおっしゃる方も少なくありません。
彼女たちを見ていて思うのが、自分が話すことにいっぱいいっぱいになってしまうことで、聞き手への配慮が行き届いていない(聞き手のことを想像できていない)ことが多いなと感じます。
子供のころの経験も含めると、多くの人は「人前で話す経験」より「人の話を聞く経験」の方が多いです。
なので、人前で話す立場になったとしても、聞き手のことを想像することは難しい話ではありません。
未経験なことを想像するのではないからですね。
それでも話し手になると聞き手のことを想像するのが難しくなるのは、なぜでしょうか。
うまく話せない原因1:言葉を省略してしまう
日本語って、文法がめちゃくちゃでも通じてしまいます(よくも悪くも)。
前後の脈絡から想像して、ある程度理解することが可能ですよね。
その上、話し手には話したいことがすでに頭の中で描かれているのに対し、聞き手の頭の中にはその情報がない状態で、“初期設定”がすでに異なっているわけです。
特に自分の専門分野のことを、知らない人に教える際には、話の内容をなるべく分解して丁寧に説明しながら進めていかないと伝わりません。
聞き手が理解できなければ、よい反応も得られないので、「話し方がまずかったかな」となってしまうんですね。
とはいえ、「うまく話せない」と言う人の多くは次のケースが当てはまるかなと思います。
聞き手の反応を見て「話し方がまずかったかな」と反省できる時点で、十分聞き手の反応を見ることができているからです。
うまく話せないという人の話し方は、こんな感じです。
上手く話せない原因2:感情優位で言いたいことがまとまっていない
言いたいことはある、話せる内容はまとまっている、にもかかわらず、いざとなったらうまく話せない…こんなときは感情が優位に立っていることがあります。
- こんな私の話しをみんなは聞いてくれるだろうか
- おかしな話し方をしていたら恥ずかしい
このような、話すこと自体に対するネガティブな感情の他に、
- これを経験した時は本当にツラかった!
- こんなすごい情報は今すぐに大勢に伝えたい!知ってほしい!
このように、話しの内容に対して持つ感情など、様々あります。
話し慣れている人は、この辺りの感情をうまくコントロールして(鎮めるとか隠すというわけではなく、うまく活用して)臨場感たっぷりに話します。
話し慣れていない人、「私はうまく話せなくて…」と言う人は、この感情に飲み込まれてブレーキがかかり、頭の中を整理できないままで思いついた言葉を出してしまうんですね。
このような理由で「私はうまく話せない」とおっしゃる方何名かが、ビースマートの話し方講座を受けてくださいました。
ネガティブな感情部分に関しては「いやいや、大丈夫ですよ」という声掛けって無意味で、具体的にこうしたらいいというのをお伝えし、それをなぞっていくだけで自然と話せるようになり、その結果ネガティブ感情は前向きに変わっていきます。
行動が変わるから感情がつられて変わっていくんですね。
うまく話せない原因3:聞き手が何を求めているかわかっていない
あなたが今の仕事を始めた動機・きっかけを聞かれたら、どのように答えますか。
「子供のころから体が弱かったんですけど、少年野球のチームに入ったら徐々に丈夫になった実感があったんですよ。スポーツってただ楽しむだけじゃないんだと知って、ちゃんと体やスポーツのことを勉強しようと思って体育大学で学んでいく中で、先輩にキッズトレーナーの仕事を教えていただいたんです」
色んな動機があると思いますが、過去の経験がストーリーとなって今の仕事に結びついていると思うので、回答としては過去から今に向かって時間が流れる内容になるのが一般的かと思います。
ところがこういう答え方をする人もいらっしゃいます。
「子供のころから体が弱かったんですね。病院に行って薬をもらったり、よく学校を休んだりすることもあったんです。漢方薬も結構飲みましたが漢方薬って苦いじゃないですか。あの苦さがちょっとダメで、親に嫌だ嫌だと言いながら仕方なく飲んでいました。そしたら小学校3年生のときに、少年野球のチームに入ってみないかと友達に誘われたんですよ。まぁ野球はテレビでもよく見ていたし、仲のいい友達だったので、試しに一度見学させてもらったら、その日の練習に入れてもらえて、結構しんどかったんですけど、なんとか最後まで一緒にできたので…」
長くなるので、途中で切りました(笑)。
過去の話しを持ってくると、その時代の出来事を語り始めて、なかなか本題に戻ってこれないパターンです。
本人は当時の思い出に感情が乗って、気分よく話し始めるのですが、聞き手はそこまで求めていません。長いなぁと遠い目をしながら頷いてくれています。
途中で本人もはっとして、「すみません、何の質問でしたっけ」となるのがオチです。
やはり、感情優位になりすぎているのです。
目的地を見失い、感情が乗って話しがどんどん膨らむと、話しをきれいに終えることができないので、「うまく話せない」と思ってしまうんですね。
このパターンは、何を聞かれているのか、何を話す時間なのかが頭からすっぽり抜け落ちています。
まとめ:話し上手は聞き上手
- 言葉を省略してしまう
- 感情優位で言いたいことがまとまっていない
- 聞き手が何を求めているかわかっていない
話し上手は聞き上手って聞いたことありませんか。
うまく話せない理由のほとんどが、「今、何を話すべきかわかっていない」というのがあります。
なぜわかっていないのかというと、質問や聞き手のニーズを把握していないからなので、まずはしっかり聞くことがうまく話すための一歩目になります。
ただ自分が言いたいことだけをペラペラしゃべるのではなく、要はここでは何を求められているのかを認識するのです。
質問や聞き手のニーズを把握したら、スマートな話し方の王道「結論ファースト」も取り入れていきましょう。
また、感情優位になりすぎないように客観的な目線を持つためには、読書をオススメします。
主人公に感情移入することがあっても、主人公を自分に置き換えて読むのではなく、あくまでの第三者目線になるので、その目線を養うには読書をすることが効果的です。
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