あなたは質問に的確に答えることができているでしょうか。
質問に対してズレた回答をしてしまっても、残念ながらなかなか注意してもらえません。
「そういうことを聞いているんじゃないけどな…」と思われても、それを正直に言ってもらえることはほぼないと思って、間違いないです。
あなたの回答の後に、講師がコメントしづらそうな顔をされていたら、もしかしたらちょっとズレていたかもしれませんね。
私も時々、自分で話しながらも的外れになっていないか一瞬不安になることもありますし、第三者目線になると「あの回答はズレているなぁ」と気づくことがあります。
人の話しぶりを聞いて、ズレに気づいたらそこで終わりにしないで、「どうすればズレない回答にできたのか」を考えると、活きた勉強になります。
質問に的確に答えるためには何に気をつければいいのかをお伝えするにあたり、実際にあった例をご紹介していきますね。
何を聞かれているか理解する
経営者対象のとある勉強会で、講師の方がこのような質問をされました。
※実際の文言を多少変えて書いています。
ヒト・モノ・カネ…この3つのうち、現状足りていると思うものと、未来を考えた時に今は足りていないな、欲しいなと思うものはなんですか。
私含めて受講者は全員一人ずつ答えていくのですが、一人目の回答が終わったタイミングで早速講師から、ストップがかかりました。
ヒト・モノ・カネのワードで答えてくださいね
私も一人目の方の回答を聞いて感じたのは、講師の質問に答えられておらず、自分の気持ちや考えを自由に述べたにすぎないということです。
この3つのうち、どれですか?という問いに対しては三択でしかないのです。
「人とお金」と2つ答える方もおられるかもしれませんが、次のような回答は講師の意図とズレています。
今の人数で回せないことはないんで、“ヒト”はまぁ優先順位は低いですけど、いたら助かるかなーと言う気はしますよね。でもそうするには雇用ってことになるので、現状どうでしょう、ちょっと色々見直したいところはありますかね。モノに関しては……
文章を読んでいると、こんなまどろっこしい回答をする人がいるのか?と思われるかもしれませんが、「3つのうちどれ?」と聞かれているのに、長い文章で答えて、結局どれかわからない…こんな人はいます。
はっきり言って、多いです。
もしかしたら、「ヒト」だと思って答えているのかもしれませんが、伝わりません。
まずは結論から話しましょうというのは、何度かお伝えしている事ですから、3つのうちどれかを選んで答えた後に、その理由を付け足す言い方が好ましいですよね。
多くの人が、“ヒト”についての考え、“モノ”についての考え、“カネ”についての考えを順に話されていた印象です。
つまり、3つの項目を話されていました。
ただ、投げかけられた質問は、「今は何が足りていて、将来を見通したときに何が足りていないと思うか」なので、答える項目としては2つです。
足りているものと足りていないもの、2つを挙げるだけだったんです。
動詞に注目する
また、このようなやりとりもありました。
今日の内容を振り返って、
①決めたこと
②行動すること
を教えてください。
ここでも2つのことを話さなければいけません。
この場面で注意したいのは、『動詞』です。
①決める、②行動する、2つの動詞にあてはめて考えると、シンプルで相手に伝わりやすい回答になるだけでなく、自分の中でも考えや学んだことがきれいに整理されるはずです。
ありがちな回答例としては、
- 思ったこと(感想)を述べる
- ②の行動することだけを言う
の2パターンです。
後者の場合は、間違いというより、質問に対して“足りない感”がありますが、聞いている側にしてみれば、なぜその行動をしようと思ったのかがわかりにくいかもしれません。
せっかく講師が①を促してくれている理由を考えると、その行動をしようと思った動機が①で説明できるんですよね。
例えば…
- イベントの告知だけでなく、イベントの主催者が普段から考えていることや思いなど、心や頭の中にあることを発信する!ということを決めました。
- イベント前にだけ活用していたSNSを日常的に開いて、日頃感じたことなどもインスタで発信し、ブログにも投稿します。
このように回答できれば、①と②に答えていることになりますが、実際は次のような回答も少なくありません。
すごく勉強になったので、できることから色々挑戦していきたいと思います
「すごく勉強になった」というのは感想ですよね。
ここでは、今日の勉強会を通してどう思ったのか、何を感じたのかではなく、「何を決めたか」を問われています。
ということは、何かを決めなければいけません。
そして、何かを決めただけでは現状は変わりませんから、次のステップとしては「行動」、これを問われているんです。
「挑戦する」も、行動といえば行動ですが、やや意気込みに近くて、具体的に何をするかが聞き手に伝わりません。
おそらく、このように回答する時点でご本人も行動内容がしっかり定まっていないのだと思いますし、「していきたいと思います」という言い方は決意表明としては弱い印象を与えます。
的確に質問に答えるためのポイント
経営者対象の勉強会って、基本的にスピード感がありますよね。
答えるときに、「まだ考えがまとまっていないんだけど…」という時も、もちろんあるでしょう。
そんなときに、思い出してほしいのが、質問された項目の動詞をきちんととらえるということなんです。
思ったこと・感じたことを聞かれているのであれば、自分が「思う・感じる」ことを言えばいいし、明日からすることは何かと言われたら「する=DO」、つまり、やることを答えるのであって、感じたことを答える場ではありません。
的外れな回答というものは、講師が想定していた時間を大幅に超えていることがほとんどです。
的外れというのは、不正解ということではありません。
講師が受講者の意見を聞くときって、正解を求めることは少なくて、純粋にどう思うか、どう感じるかという個人的な意見を聞きたいだけであることが多いんですね。
しかも、何かを学んでいる場では、間違っていいんです。わからないから参加しているので、間違うことは気にすることではありません。
間違いかどうかではなく、質問と全く食い違っている内容を返していないかどうかっていうのは、的確にコミュニケーションが取れるかどうか、読解力があるかどうかというところに繋がってきます。
わからないことを学ぶ上で、「聞いて理解する力」がないと致命的です。
もちろん、質問する側、講師側も、これから学ぼうとしている人に向けてわかりやすく伝えるスキルは必要ですので、講師になる側も学ぶ側も、日本語の読解力は最低限身につけておきましょう。
まとめ:質問に的外れな回答をしないために気をつけるポイント
- 何を聞かれているか理解する
- 質問された項目の動詞をきちんととらえる
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