聞き手が「話しがわかりにくいなぁ」と感じるとき、話し手の伝え方が下手なのかというと、そうでもありません。やはり聞き手の読解力や理解力も必要ですよね。
聞き手も話し手もそれぞれが一生懸命に聞いたり話したりしている中で、
- 「なんでもっとわかりやすく言ってくれないんだろう」
- 「なんでこれを理解してくれないんだろう」
というフラストレーションがたまってしまうことがあります。
そういうミスマッチは、どうしたら防げるのでしょうか。
前提として、話し手が聞き手の反応を見て、いろんな伝え方ができるように訓練しておくことは必要です。
とにかく聞き手への配慮が大切であり、そのためには表現力を磨こう!ということを、ビースマート話し方講座でお伝えしています。
個別の表現力とは別に、仕組みで解決できる部分もあります。
聞き手の読解力や理解力は、話し手がコントロールできるものではありません。それでも事前にできることはあるのです。
聞き手に「わかりにくい」と思われるのをなるべく減らせる3つのことをご紹介しますので、セミナーなどを開く際には参考にしていただければ幸いです。
対象者を明確にしよう
一番の方法は、そのセミナー(講義など)は誰にとって有益なものなのか、参加対象者を明確にしておくことです。
例えば、『カメラ撮影がうまくなる講座』があったとしても、対象者としては様々なレベルが想定されます。
- 子供の運動会で、走る我が子をきれいに撮影できるようになりたい
- 自社サイトに掲載するため、販売する商品をきれいに撮影したい
- できれば仕事としてやっていけるように風景をきれいに撮りたい
これらのニーズを同時に満たす講座はあり得ません。
仕事に結び付けたいような人向けの言葉やスピードの講座に、「子供の思い出を撮りたい」という親御さんが「わかりやすい!」とはならないはずです。そもそも、カメラの種類も異なるでしょう。
また、『サロン経営を学べるセミナーです』といっても、
- まさにこれから始めようとする人
- 月商30万円の人が次のステージを目指す
- 年商1000万円以上の人向け
このようにステージが異なる人が集まっては、講師も誰に向けて話せばいいか、混乱してしまいますよね。
講師としては、なるべく多くの方に来てほしい!大勢に伝えたい!という気持ちもありますが、「誰でもウエルカム!」という状態は、講師にとっても受講者にとってもやさしくありません。
参加対象をしっかり絞り込めば、講師も的を絞って話しやすくなりますので、受講者を募集する際には、どのような方にオススメなのかを恐れずに書いていきましょう。
ちなみにビースマート話し方講座は、「友達や同僚との日常的な雑談を、もっとうまくできるようになりたい」という方に向けては開講しておりません。
資料を活用しよう
「話しがわかりにくい」「うまく話せない」そんな悩みを解消する方法として、資料を活用することをオススメしております。
受講する人は、たとえ初心者ではないといっても、その分野の知識がまだないということを忘れてはいけません。
資料はパワポやCanvaで作れますが、大きなスケッチブックに太いマジックで書いたものを用意して、声が届かない人にもわかるように準備してきた人もいました。
私もセミナーを開くときには、必ずパワポで作った資料をお見せしながら進めていきます。
話し方講座のほかに、セラピストとしても活動しているのですが、特にご新規のお客様がいらした際には、パワポで作成した5枚の資料をめくりながら当サロンの施術説明や、お客様のお悩みの根本原因をお伝えしております。
わずか10~15分程度であっても、口頭だけで済ませることはありませんし、資料を使いながらのカウンセリングにしたことによって(口頭だけで行っていた時と比べて)お客様のリピート率が確実に上がりました。
お客様にお見せする資料は、話し手の台本ではありません。
たまにオンラインセミナーで「画面共有しますねー」と言って、文字の羅列を見せる講師がいます。
そういう講師はたいてい、その文字を読んでいるだけなので、読むだけだったらその講師じゃなくてもよくなるわけですよね。
音読を聞いている側としたら、確かに知識は頭に入るかもしれませんが、その講師のセミナーをまた受けたい!と思うかと問われるとそれは別の話しで、おそらくあまり印象に残らないのが現状ではないでしょうか。
セミナーやカウンセリングなど、話しながら使う資料をどうすればいいか迷われている方は、一度ご相談ください。
ある不動産屋さんのご新規様向けカウンセリングで、「次につながる話しができない」とご相談をいただいたときに、お客様と一緒に見ながら話しを進めることができる資料をご提案させていただいたことがあります。
もう表紙をご覧になった瞬間から喜んでもらえたのですが(笑)、話し手にとっては当たり前すぎることでも、初めて聞く人にとってはそうではないので、目で見てわかる資料がある方が安心ですね。
考える時間を設けよう
セミナーや学校の授業など、学ぶ人が集うときには、受講者や生徒が自ら考える時間を設けましょう。
講師が一方的に話して、最後の最後に「では、各自で頑張ってください!」「これが課題なので、次回までにやってきてください」と投げるのではなく、あえてそのセミナーの時間内で、少しでも考える時間を取ります。
できればアウトプットまでがセットです。
知らないことがわかるようになるには、自分事として聞いて、自分の頭で考え、さらにアウトプットすることができて「理解した」となるのですね。
アウトプットをする方法はいくつかあります。
学校のように、答えられる人に挙手を求めるだけでなく、オンラインセミナーであれば、チャットに書き込んでいただくのもありですね。
大勢の前で発言するのが苦手な人でも、その大勢に紛れてチャットでアウトプットすることができます。
もしくは、手元のノートに書く、というだけでも十分アウトプットになります。頭で考えるに留めないことが大切なんですね。
この「考えてアウトプットする時間」のタイミングと尺を考慮して、セミナーの全体構成を考えていきましょう。
まとめ:話がわかりにくいと言われるセミナー講師がやるべき3つの対策
- 対象者を明確にしよう
- 資料を活用しよう
- 考える時間を設けよう
いくら話し手がわかりやすく伝えようとしても、聞き手の読解力やレベルによっては、講師と受講者のミスマッチが起こってしまいます。
それをなるべく起こさないようにするための方法として、3つの仕組みをお伝えしました。
これらは講師の個性や能力関係なく、誰でもできることです。
個人の能力に左右されない仕組みを活用して、わかりやすくなる工夫を丁寧に行っていきましょう。
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