会話で誤解を与えてしまう場合は、言葉の取捨選択をしよう

会話で誤解を与えてしまう場合は、言葉の取捨選択をしよう

日常会話や仕事での会話において「そんなつもりで言ったのではないのに…」と思ってしまうことはありませんか?

よく相手に誤解を与えてしまう人・意味が伝わらないなと思ってしまう人は、言葉選びが微妙なのかもしれません。

この記事では、会話において相手に誤解を与えないようにするための「言葉の取捨選択」について書いていきます。

参考になさってください。

目次

誤解を与えてしまう会話とは?例を紹介します。

血中酸素

「酸素飽和度をこまめに測って、なるべく早めに酸素吸入をやめ、自力で呼吸できるようにしていこう」

これは、とある要介護者にまつわる家族の言葉です。

酸素飽和度とは、ものすごくざっくりいうと、血液の中にどれくらい酸素があるかを示す数値で、指にはさむ器具で誰でも簡単に測れます。この数値が低ければ、医療機器を使って酸素を送り込みます。

冒頭のセリフの意図はこうです。

寝たきりの高齢家族が酸素投与され続けているが、酸素飽和度自体は誰でも(医療従事者でもない我々家族が)いつでも測ることができるので、なるべくこまめに測り、安定しているようだったら、酸素投与をやめた方がいいのではないか。自力で呼吸する力があるうちに、そうしてはどうか…

という主旨の話しです。

ところが、この提案を聞いた家族は、こう答えます。

「なに勝手なことを!」

提案された側の家族が、怒ってしまったのですね。

坂本

人が怒ること自体は、私は別にいいと思うんです。きちんと感情表現しないと、相手に伝わりませんから。

ただ、ここでの怒りは、そもそも生まれる必要のない感情だったと思います。

読解力があれば、この程度の会話で怒る必要はないのですね。

詳しく解説していきます。

会話での誤解はこうして生まれる

誤解

まず、この会話をしているのが家族であって、今はじめて会った他人(まだ信頼関係が築かれていない人どうし)ではないということで、酸素投与をなるべく早めにやめさせようと提案する人が、医療従事者の目を盗んで、いきなり医療機器を取り外す人なのか…そうではないことが、わかるはずです。(というか、そんな危険すぎることは誰もしませんよね)

なので「なに勝手なことを!」の「勝手なこと」が、「酸素投与を勝手にやめさせる(取り外す)」を指しているなら、あまりにも早とちりしているという印象です。

「勝手なこと」が指す言葉として、「酸素飽和度をこまめに測る」がありますが、これは本当に「勝手にこまめに測っても全く問題ない」です。

坂本

元介護職員の私が断言します。

クリップのようなものを指先に挟むだけなので、脇に体温計を入れて何度も熱を測ることが身体的に何の問題ないのと同じなんですね。

なので、これを「勝手なこと」というのも違和感があります。

「自力で呼吸できるようにしていこう」これは、要介護者に対する希望なので、勝手な希望だと言われたらそれまでですが、ここに対して怒られているとはさすがに考えられません。

ということで、「酸素飽和度をこまめに測って、なるべく早めに酸素吸入をやめ、自力で呼吸できるようにしていこう」と言われて怒ることなんて、ひとつもないわけです。

何も勝手なことはしていません。

私の推測では、提案された家族が不快になって怒った理由としては、

「医療従事者ではない者が、ああなったらこうしようと勝手に決めるのはやめなさい」

ということだったのではないでしょうか(ちなみにこのご家族は、医者ではありませんが、医療知識を持っている人でしたが)。

もし提案された家族に読解力があれば、酸素飽和度が安定しているとなったら、酸素投与を見直してもらえないかと医者や看護師に声をかけるだけであって、勝手に器機に触れるわけではないことがわかります。

ところが、読解力というのは、人によって違います。

大学を出たからとか、30歳を超えたからとか、管理職に就いたからとか、60年生きていたからとか、そういうことと比例するわけではないんですよね(高校までの間に、徹底した読解力向上の授業があってもいいと私は思っています。国語でそれを行っているのだと思いますが、足りていません)。

会話での誤解を防ぐためにできること

誤解を防ぐには

では、今回の場合はどのように話せば提案された家族が勘違いすることを防げたのでしょうか。

聞き手の読解力だけに頼るのではなく、話し手が工夫することも必要で、私は特に初対面の方や、仕事での打ち合わせなど、場面や相手に応じて話す順番を考えます。

坂本

例えば次のように話すとどうでしょうか。

「自力で呼吸できるようにしていくために、酸素飽和度をなるべくこまめに計ろう。安定したら看護師さんに話してみよう」

何のために、何をするのかが明確になったと思います。

「酸素投与をやめる」というのをあえて言語化せず、「看護師さんに話しをする」を最後にもって来ることで、言いたいことがはっきりしました。

心配性の家族でも安心です。

前提や知識の差がある人どうしが話しをするときは、このように

  • 言わなくていい言葉
  • 伝えた方がいい言葉

話し手が取捨選択し、それを話す順番も整理しながら話すと誤解が生じにくいです。

また、一文で一気に言わないのもポイントです。

なるべく一文を短くした方が、聞き手は理解しやすいです。

話し手も自分の感情を乗せて思いついたことをそのまま口にしてしまうと、聞き手が混乱してしまいます。

阿吽の呼吸で通じ合える間柄であれば別ですが、初対面であればもちろん、顔馴染みの相手でも話題に対する知識に差がある場合は、配慮が必要です。

坂本

次の例を見てみましょう。

「息子が熱を出して、本人はそこまでツラそうではないのですが、インフルエンザかもしれません。明日、検査をしに行く予定です。陰性だといいのですが、今週末のお約束はどのようにしたらよいでしょうか」

今度は先ほどの例とは反対に、情報が多いパターンですね。

もちろん、状況は理解できますが、お仕事でのやり取りだとしたらスマートではありません。

起きた出来事と頭にあることをそのまましゃべっているだけです。

何を言いたいのか、そのためにはどの情報を伝えるべきなのかを取捨選択しましょう。

坂本

私ならこのようにします。

「息子がインフルエンザかもしれないので、明日検査に行ってきます。陽性の場合は、申し訳ありませんが週末のお約束の日にちを変更してください。明日の検査が終わり次第、またご連絡致します。」

もしくは、「明日検査を受けて、明日中に結果がわかる」ことで、結果次第では予定の変更をしなくて済むのなら、検査結果が出た時点で先方に連絡するかもしれません。

ここは先方と自分との関係や、どのような約束かによりますが、「予定を変更してもらうかもしれませんが、最終的なことは明日になってから言います」をわざわざ連絡したら、先方はそれに目を通して「わかりました」だけでなく、「お大事になさってください」という労わりの言葉をかけることになりますよね。

坂本

早めの連絡も大切ですが、相手のことを配慮すると、どのタイミングで連絡するかは冷静に考えたいものです。

コロナを機に増えたこと

選択

上に挙げた例のように、家族の体調不良があったときに、「私はどうしたらいいでしょうか(予定通りお伺いしてもよろしいでしょうか、それとも止めた方がいいでしょうか)」と聞かれることが本当に、本当に!多くなりました。

おそらくコロナ渦の影響だと思うのです。

同居家族に体調不良者が出た、私は濃厚接触者かもしれないから、なるべく人に合わない方がいいのではないかという発想になるのでしょう。

坂本

この発想自体は悪くないと思いますし、名前のつかない風邪であっても、同じことが言えます。

ただ、「私はどうしたらよいのでしょうか」と、約束した相手に自分の行動を委ねるのはどうかと思います。

なぜなら、家族が体調不良といってもどの程度なのか、またご本人はどれくらい影響を受けているのか(いないのか)、そういったことが全くわからないからです。

わかったとしても、結局は家族に付き添うという判断含めてご本人にしかわからないことなので自分で決めてほしいです。

「キャンセルすることになってもお気になさらず」という一言を添えて、自分で決めてくださいと私は伝えています。

坂本

このように相手に決断を委ねる心理としては、「ドタキャンをしたくない」ではないでしょうか。

それも、「楽しみだった約束をキャンセルするのは嫌だ、行きたい!」という気持ちよりも、直前になってキャンセルする申し訳なさから、「ドタキャンをする人と思われたくない」という保身に近い感じがします。

だから相手に、「じゃあ、日にちを改めましょう」と言われればラクですし、「陰性だったら来てください」のように、指示をもらえると安心するんですよね。

その行動は自分で腹を括って決断したわけではないから、何かあっても「そう言われたから」と保険が利く。

坂本

責任を自分で背負う必要はないので、心も重くはなりません。

人は頭に浮かんだことをそのまま言葉や文字にしがちですが、それでは誤解を与えかねないのは、聞き手にも一人ひとり読解力の差があるからです。

私が話し方講座を通して伝えたいのは、どこまでも相手への配慮が大切だということで、それをすることで、話し手も読解力や思考力が養われます。

坂本

自戒を込めて書きました。

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この記事を書いた人

兵庫県生まれ、大阪在住。話し方&書き方講座やコンサルティング 兼 腸セラピスト養成スクール講師、自身もサロンでセラピストとして活動中。趣味はダンス、マンツーマンでレッスン受けてます。

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