丁寧な言葉が逆効果?損をする人の敬語とマルハラの意外な真実

スマートな話し方

ビジネスチャットやLINEなど、テキストベースのコミュニケーションが増える中で、「丁寧な敬語を使っているはずなのに、なぜか相手の反応が冷たい」と悩むことはありませんか?

実は、「正しい敬語」を使っていれば失礼にならない、というのは大きな間違いです。言葉の裏側にある「配慮のなさ」は、正しい敬語を使えば使うほど、かえって冷酷な印象として相手に伝わってしまいます。

今回は、自戒を込めて意識したい「敬意のない敬語」のパターンと、話題の「マルハラ」の本質について解説します。

目次

「行動への配慮」を欠いた一方的な通告

NG例:「明日のお約束ですが、その後の時間に予定が入ったため、途中で抜けさせていただきます。」

一見、謙譲語を使った丁寧な文章です。しかし、受け取った側は「後から入った予定のために、私との時間を削るのか」という**言葉の端々に漂う「優先順位の低さ」を感じ取ってしまいます。

「〜させていただきます」という言葉で文を終えると、そこでシャッターを下ろされたような、プチンと関係が切れる印象を与えがちです。

信頼を守る改善ポイント

どうしてもやむを得ない場合は、言葉の「型」だけでなく「申し訳なさ」を乗せる必要があります。

  • クッション言葉:「誠に恐縮ながら」「勝手を申し上げますが」
  • 文末のフォロー:「大変申し訳ありません」「また改めてゆっくりお時間をいただけますと幸いです」

単なる連絡事項として突き放すのではなく、「相手の時間を奪うことへの痛み」を言葉に込めるのが大人のマナーです。

信頼関係のあるコミュニケーション

相手に「不要な手間」を強いる無意識の傲慢

「丁寧な敬語を使っていれば、相手に対して失礼にならない」という思い込みは、時に相手への「無意識の丸投げ」に繋がります。特に、相手の状況を想像できていないケースでよく見られます。

事例1:提示された選択肢を「再確認」させる

坂本:「5日10時〜と、6日10時〜が空いています。ご都合いかがでしょうか?」
Aさん:「5日10時〜を希望します。坂本さんのご都合をご確認ください。

これも実際によくあるケースです。坂本は「自分が空いている時間」を提示しているのですから、すでに都合は確認済み。そこに「ご確認ください」と返すのは、丁寧に見えて、実は相手に二度手間を強いていることになります。

「丁寧な言葉遣いさえしていればいい」という思い込みが、相手に「私は自分の希望を伝えたから、あとはあなたが処理してね」という丸投げの印象を与えてしまうのです。

事例2:プロの業務フローを止める「親切心」

同様のことは、ビジネスの入金連絡などでも起こります。

支払者:「本日、お振込みいたしました。ご確認をお願いします。

個人事業主やひとり社長にとって、請求書の期日通りに入金されているかを確認するのは、ルーチン化された「プロの仕事」です。 1対1のやり取りなら親切に聞こえますが、相手に何十人ものクライアントがいる場合、この連絡は「通知を確認し、銀行アプリを開き、返信する」という追加のタスクを相手に課すことになります。

大企業にはしないような連絡を個人に対して送ってしまうのは、距離が近いからこその甘えかもしれません。「言われなくても確認します」という相手の仕事を信頼し、あえて連絡しない、あるいは「返信不要」と添える。 それこそが、相手の時間を尊重する「真のプロ」の配慮です。

これらに共通するのは、丁寧な言葉を使いながらも、その実、「自分の発言で相手にどんな行動を強いるか」という想像力が欠如しているという点です。

チャット

「マルハラ」なんて存在しない?受け取り手の思い込み

最近、文末の句点(。)に威圧感を覚える「マルハラ(マルハラスメント)」が話題ですが、私はマルハラなんて、本当は存在しないと考えています。

句点が「怖い」と感じてしまうのは、大きく分けて2つの原因があります。

  1. 送り手の「言葉不足」: 前述したように、クッション言葉などの配慮がないために、記号が「壁」に見えている。
  2. 受け取り手の「思い込み」: 相手の何気ない一文に対して、深読みをしすぎて勝手に「怒っている」と解釈している。

特に2については、受け取り手のマインドの問題でもあります。「。」は日本語として正しい結びであり、そこに感情的な攻撃意図が含まれていることは稀です。たった一つの記号で「冷たい」と怯えてしまうのは、少し自意識過剰、あるいは相手への信頼が足りないとも言えるのではないでしょうか。

記号一つに振り回されるのではなく、文脈全体から相手の意図を読み取る。そんな「大人の余裕」を持ちたいものです。

テキストコミュニケーション

結論:敬語は「型」ではなく「想像力」

丁寧な言葉選びは、本来、相手を大切に思う気持ちを届けるためのツールです。

  • この一言を送ることで、相手にどんな手間をかけさせてしまうか
  • 言葉の裏側にある自分の本心は、相手を尊重できているか

こうした想像力を欠いたまま敬語という「型」だけを使っても、それは血の通わないマニュアルのように冷たく響いてしまいます。

まずは、身近な人とのやり取りから少しずつ意識を変えてみませんか。「正しい敬語を使おう」と肩に力を入れるよりも、「どうすれば相手の時間を奪わず、心地よく情報を届けられるか」。その視点を持つだけで、あなたの言葉は驚くほど優しく、そして知的な輝きを放ち始めるはずです。

相手の状況を思いやる一歩。その積み重ねの先に、周囲から信頼される「真の大人」のコミュニケーションが待っています。

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この記事を書いた人

言語IQ150超、SEOコンサルタント、話し方トレーナー。ブログや書籍を執筆。『ステージで輝くための鍵~表現力を鍛える最短ルート~』の著者。セラピストとして2016年にサロン開業、セラピスト育成スクールの開講、さらには協会設立までを手掛け、集客は100%ブログで行う。会報誌や機関誌にて特集監修。ビジネス系情報番組にも出演。

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