俳優・高橋一生さんのインタビューを耳にすると、その落ち着いた口調と的確な言葉選びに「なんて知的な人だろう」と感じる方は多いはずです。
クイズ番組で正解を連発するような派手な知識ではなく、自身の内面を丁寧に言語化するその姿こそ、私たちが目指すべき「思慮深い大人」の理想像ではないでしょうか。
今回は、渋沢栄一の思想や歴史的エピソードを交え、大人こそ磨くべき「語彙力」の本質について解説します。
「人間と動物の境界線」はどこにあるのか
2021年の大河ドラマ『青天を衝け』の主人公・渋沢栄一。彼の著書『論語と算盤』の中には、私たちの本質を問うような一節があります。
「人間と動物の違いは何か?」
渋沢は、人間には道徳(仁義)があり、知恵を磨き、社会に貢献する意思がある点にその違いを見出しました。しかし、この「人間らしさ」の土台を支えているのは、他でもない「言葉」という存在です。
それを裏付けるような、歴史上の残酷なエピソードが語り継がれています。
13世紀、神聖ローマ皇帝フリードリヒ2世が行ったとされる実験です。彼は「人間が誰からも言葉を教わらずに育ったら、どの言語を話し始めるのか」を知るため、赤ちゃんを隔離し、乳母に「世話はしてもいいが、一切言葉をかけてはいけない」と命じたといいます。
(修道士サリンベーネの『年代記』による記録/参考:https://kazumadesign.com/archives/7594)
結果、子供たちは言葉を発するようになる前に、全員が亡くなってしまったと記されています。この悲劇的な記録は、人間が人間として成長するためには、単なる食事や排泄の世話だけでなく、「言葉の交わし合い」がいかに不可欠であるかを物語っています。
私たちは、周囲の大人や教育という「言葉の海」に触れることで、初めて人間らしい「思考」や「心」を手に入れることができるのです。
「語彙力の欠如」が招く、大人としてのリスク
SNSで「すごい!」「ヤバい!」と繰り返すだけでは、感情の細部までは伝わりません。
「持っている言葉の数=考えられる世界の広さ」です。
高橋一生さんのように、複雑な感情を的確な言葉で表現できる人は、周囲に「物事を深く理解している」という印象を与えます。 反対に、年齢を重ねても言葉の引き出しが増えなければ、周囲の期待する「大人の落ち着き」とのギャップが生まれ、「ただ顔に年輪が刻まれただけの人」になりかねません。

語彙力という「武器」を磨く2ステップ
語彙力は、いつからでも鍛えることができます。
読書による「インプット」
高橋一生さんの豊かな表現力の背景には、膨大な読書量があると言われています。まずは本を読み、自分とは違う価値観を持つ人の言葉に触れましょう。自分の中に眠っていた感情に「名前」をつける作業です。
ブログによる「アウトプット」
インプットしただけでは、言葉は定着しません。 自分の考えを、ある程度の長さの文章(ブログなど)にまとめてみる。この「出力」のプロセスを経て初めて、言葉はあなたの「力」になります。
私自身、起業家として歩みを止めることなく更新し続ける中で、年々「論理的思考力」が強くなっている自覚があります。 しかし、それは決して感情を押し殺したり、心が冷たくなったりしたわけではありません。むしろその逆です。もともとの強い感受性を、「的確な言葉で表現し、整理する力」が鍛えられてきたという感覚なのです。
感情を言葉という形に落とし込めるようになると、漠然とした不安や感動を「論理的」に捉え直すことができます。これこそが、大人が語彙力を磨く最大の恩恵ではないでしょうか。

結論:言葉を磨き、知的な大人へ
大人に必要なのは、難解な言葉を並べることではなく、「自分の想いを、最適な言葉で届ける力」です。
今日から少しずつ、本を開き、アウトプットを始めてみませんか?あなたの言葉が、あなた自身の知性を形作っていきます。



